【完全ガイド】日商簿記とは?試験の難易度・勉強法・合格率をわかりやすく解説!
はじめに
前回は、「全経簿記」「全商簿記」「日商簿記」の3種類の簿記資格を比較しました。
どの簿記資格が自分に向いているのかは人それぞれですが、就職や転職、キャリアアップの観点から、最もおすすめの資格は日商簿記であると結論づけました。
では、実際にどの級を受ければいいの?
統一試験とネット試験のどちらを受ければいいの?
どのくらいの勉強が必要なの?
本記事では、日商簿記の基本情報や試験の特徴ついて解説していきます。
また、勉強法の章では、筆者の体験を踏まえたおすすめの勉強法についてお話ししているので、ぜひ最後までご覧ください!
日商簿記とは
日商簿記とは、日本商工会議所が主催しており、企業の会計や経理の基礎知識を証明できる資格です。
簿記試験の方式
個人で受験する場合、日商簿記試験は、従来の**統一試験(ペーパー試験)と、2020年12月に導入されたネット試験(CBT方式)**の2種類があります。
(ペーパー試験には「団体受験」の形式もあり、2級・3級のみですが、企業や学校等で開催される場合にはそちらで受験するのもよいでしょう)
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統一試験(ペーパー試験):1級は年2回(6月・11月)、2級・3級は年3回(6月・11月・2月)
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ネット試験(CBT方式):2級・3級・初級は随時受験可能
ペーパー試験で受験するか、ネット試験で受験するかはご自身の希望に合わせて選択することができますが、それぞれ違いやメリット・デメリットがあるため、あらかじめ知っておくとよいです。
◆統一試験とネット試験の違い
| 項目 | 統一試験 | ネット試験 |
|---|---|---|
| 試験方式 | 紙の問題用紙と解答用紙を使用 | パソコンで問題を表示し、解答を入力 |
| 試験日程 | 年3回の固定された日程 | ほぼ毎日受験可能 (一部期間を除く) |
| 合否発表 | 2〜3週間後 | 試験終了後即時 |
| 再受験 | 次回の試験日まで待つ必要がある | 不合格の場合、翌日から再チャレンジ可能 |
| 試験会場 | 指定された大学や商工会議所など | 全国のテストセンター |
| 申込方法 | 各商工会議所の窓口、郵送、ホームページ等 (受験申込および受付期間は、商工会議所によって異なる) | 窓口や電話、インターネット(パソコン・スマホ)など (各ネット試験会場により異なる) |
| 問題の傾向 | 従来通りの出題形式 | パソコンの表示上、問題文が比較的短い |
| その他 | - | ・事務手数料550円が別途必要 ・一部地域(東京都など)では統一試験が廃止 |
◆統一試験とネット試験のメリット・デメリット
| 項目 | 統一試験 | ネット試験 |
|---|---|---|
| メリット | ・パソコン操作に不慣れな人でも受験しやすい ・問題用紙に直接書き込んで解答できる | ・随時受験が可能で、都合の良い日時を選べる ・試験終了後すぐに合否が判明する ・不合格の場合、翌日から再チャレンジ可能 |
| デメリット | ・年3回の固定された日程でしか受験できない ・合格発表まで2〜3週間かかる | ・パソコン操作への慣れが必要 ・問題用紙に書き込めず、計算がしづらい場合がある ・事務手数料550円が別途必要 ・試験会場のパソコンが古い場合がある ・随時受験可能なため、勉強のモチベーションを保ちにくい |
統一試験は、しっかりと問題用紙に書き込みたい方や事務手数料を抑えたい方、ネット試験は、受験日を自由に決められたい方や試験後すぐに結果を知りたい方によさそうですね。
ネット試験の場合は、地域にも寄りますが比較的駅に近い場所で開催されるようなので、自宅から商工会議所までアクセスしづらいという方はネット試験を選ばれてもよいかもしれません。
簿記試験の種類
| 級 | 難易度 | 試験科目 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 1級 | 最難関 | 商業簿記 会計学 工業簿記 原価計算 | 高度な簿記・会計を学び、会計基準や会社法などの法規に基づく経営分析ができる。 合格で税理士試験の受験資格が得られ、公認会計士・税理士への登竜門となる。 |
| 2級 | 難関 | 商業簿記 工業簿記 (原価計算含む) | 企業が求める高度な簿記知識を習得し、財務諸表から経営状況を把握・分析できる。 2級以上の取得で、就職活動や転職活動において有利に働く。 |
| 3級 | 基礎 | 商業簿記 | 小規模企業の会計実務に対応し、経理関連書類を適切に処理できる。 ビジネスパーソンの必須知識として、基本的な商業簿記を学ぶ。 |
| 初級 | 入門 | 商業簿記 | 簿記の基本用語や複式簿記の仕組みを理解し、日常業務で活用できる基礎知識を習得する。 |
受検する級については必ずしも初級から受ける必要はなく、個々の能力に応じて決めるとよいでしょう。
それでも迷われるという方は、個人的に簿記初学者であれば3級、簿記学習経験者であれば2級から始めるとよいでしょう。
「簿記初学者なら初級からがよいのでは?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、
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3級からでも、簿記の基礎は十分に学習できる。
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上表の通り初級は基本用語や仕組みでとどまるため、教材代や受検料がかさむ。
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初級は就職活動や転職活動に活かしづらいため、保有していても履歴書には書けない。
などの理由が挙げられます。
むしろ、より実務に寄った3級で基礎と実務を一緒に学習した方が効率的だといえます。
(筆者も大学時代に初めて簿記に触れましたが、受検級も3級からスタートしました)
簿記学習経験者については学習レベルにもよりますが、基本的には2級、基礎からしっかり見直したいということであれば3級から受検してもよいでしょう。
効率良く進めたいということであれば、ダブル受験も一つの手ですね。
簿記試験の難易度
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1級(合格率10.3%):税理士や公認会計士を目指す人向け。
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2級(合格率21.5%):経理職を目指すなら必須レベル。
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3級(合格率44.0%):基礎的な簿記知識を証明できる。
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初級(合格率59.7%):簿記の入門資格。
※各級の合格率については、統一試験の第156回〜161回の平均合格率。
開催タイミングによって難易度は変動しますが、概ね上記の合格率で推移しています。
級が上がるにつれて難易度が高くなっていく分、合格率が低くなる傾向にあることがわかりますね。
各級の受験料
| 級 | 受験料 |
|---|---|
| 1級 | 7,850円 |
| 2級 | 4,720円 |
| 3級 | 2,850円 |
| 初級 | 2,200円 |
※ネット試験(2級・3級)の場合は、別途550円の事務手数料が発生。
簿記試験に合格するための勉強時間
目標とする級や個人の学習ペースによって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
| 級 | 平均学習時間(目安) | 1日の学習時間(目安) | 学習期間(目安) |
|---|---|---|---|
| 初級 | 20〜40時間 | - | - |
| 3級 | 80〜120時間 | 2〜3時間 | 約2〜2.5ヶ月 |
| 2級 | 200〜500時間 | 3〜4時間 | 約4〜7ヶ月 |
| 1級 | 600〜1000時間以上 | 4〜5時間 | 約1年以上 |
ただし、これらはあくまで目安であり、個人の理解度や学習効率によって大きく変わります。
もちろん、会社勤務で1日に1時間程度であればトータル学習時間は長くなりますし、一方で実務経験がある場合は短くなります。
簿記のおすすめの勉強方法

簿記を独学で勉強できるのか、予備校や通信講座を利用すべきかは人それぞれですが、ここでは筆者の見解をお話ししたいと思います。
3級の場合
個人的には、独学でも十分に合格可能かと思います。
もちろん、不安な方は予備校や通信講座を利用してもよいかと思いますが、3級に対して受講料を費やすのは正直もったいないです。
もし講義を受講しながらしっかりと知識を定着させたい、また簿記は取得したいが独学でやってみて理解が進まなかったということであれば、「【簿記系YouTuber?】ふくしままさゆき」の動画や、無料で開講されている「CPAラーニング」がおすすめです。
なお、筆者が使用していた教材は、TAC出版の「よくわかる簿記シリーズ 合格テキスト 日商簿記3級 Ver.8.0」のシリーズでした。
日商簿記や公認会計士試験の数々の合格実績も誇るTACからの出版であり、かつ書店で他の教材と見比べても視覚的にわかりやすいレイアウトと開きやすいサイズ感惹かれ、こちらを選びました。
他の教材では勉強しなかったですが、実際に使用してもスムーズに理解を進めることができたため、選んで間違いなかったです。
2級の場合
2級に関しては、予備校や通信講座の利用をおすすめします。
理由は、筆者が独学で勉強して3度受検しても合格しなかったから(笑)
マイナス面からお話ししてしまいましたが、個人的には3級から2級にかけて難易度が飛躍的に上がったと感じ、モチベーションが低下してしまったのと、その後予備校で受講して一気に理解が進んだことが根拠となります。
もちろん、学習スケジュールの管理をしっかりと立てられる方やモチベーションを維持できる方、実務経験のある方は独学でも問題ないといえるでしょう。
一方、2級から登場した原価計算含む工業簿記や、2017年11月から登場した連結会計については難易度が高い項目です。
予備校や通信講座を利用し、正しく効率的に理解を進めた方がよいといえます。
予備校については、個人的に資格の学校TACや資格の大原の簿記検定講座がおすすめで、基本的に公認会計士講座や税理士講座で合格実績が多いため講座の品質が高く、わからない点などがあったときに質問がしやすいことが大きなメリットです。
また、ご自身でスケジュール管理ができる方やなるべくコストを下げたい方については、3級と同様「【簿記系YouTuber?】ふくしままさゆき」や「CPAラーニング」を視聴して学習するのがよいでしょう。
1級の場合
1級の場合は、圧倒的に予備校や通信講座の利用をおすすめします。
2級の理由と重複しますが、1級は2級からさらに難易度が上がり、相当な学習量とモチベーションの維持が必要となります。
おすすめの予備校についても、2級と同様資格の学校TACや資格の大原の簿記検定講座がおすすめです。
簿記初学者が注意すべきポイント
いくつかありますが、簿記初学者が注意すべきポイントは以下が挙げられます。
使用する教材は一つにする
簿記の教材は、教材によって説明方法や流れが大きく変わるとされているため、使用教材を一つにすることで効率的に学習することができます。
使いやすい電卓を選ぶ
実は重要な部分ですが、電卓によって配列や打ち心地が異なるため、自分にとって使いやすい電卓を選んだ方がよいです。関数電卓などの多機能な電卓は、試験会場に持ち込むことができないので注意が必要です。
よく使われているのは、CASIOかSHARPあたりです。
仕訳の仕組みを正しく理解する
簿記では専門用語や公式が多いため、思わず暗記しがちですが、暗記のみでは応用問題では対応できません。
基本となる仕訳の仕組みをしっかり理解することが重要になります。
計算ミスを減らすために手を動かす
実際に仕訳を書いて練習することで、知識の定着が早くなります。
毎日コツコツする
スポーツや楽器と同様ですが、簿記に毎日触れることでしっかりと定着します。会社勤めの方でも、1時間は毎日触れる習慣があるとよいです。
まとめ
本記事では、日商簿記の基本情報や試験方式、受験級の選び方、勉強法について解説しましたが、いかがでしょうか。
日商簿記は、キャリアアップに役立つ資格なので、本記事が少しでも参考になれたらうれしいです。
自身の目的やレベルに合った級を選び、計画的に学習を進めましょう!